藤山家においでよ

横浜のパワースポットと化した藤山家。施術、お料理、お話し会などを通じて『幸せに生きる』を実験、研究しています。

そらさんと私のあれこれ。『教える』と『口を出す。手を出す。』の違い。

 

今週の月曜日は祝日でしたね。

ていうことで、娘のそらさんはいつもより一日長くお家にいました。

(そらさんは寮に入っていて、週末だけ家に帰って来る生活をしております。)

 

金曜日の学校からの帰りの電車の中でそらさんはこんなことを言いました。

 

「そらちゃんね、1人でフレンチトーストを作ってみたいの。それで、パパとママにご馳走したいの。」と。

 

どうやらテレビでフレンチトーストの作り方をみたらしく、自分で作ってみたいとおもったらしい。

私と亮一さんは「テレビではどういうふうに作っていたの?」とそらさんに聞いてみたのだけれど、その答えがまた可愛くて笑ってしまった。

 

「あのね、フライパンにお水を入れてね、それで、フランスパンを入れて焼くの。そうしたらフレンチトーストの出来上がりだよ!」

 

なんの疑いも持たず、『ただフランスパンをフライパンで蒸し焼きにする』というレシピを披露するそらさん8歳。

 

ほんとはぶははは!と笑ってしまいたいけれど、そんなことをしたらそらさんが傷ついてしまう。

私は笑いをグッとこらえてこんな風に言ってみました。

 

「へー。ママはそういうレシピは知らなかったなぁ。フライパンにお水を入れてフランスパンを焼くの?そうなんだぁ。ママが知ってるフレンチトーストのレシピも聞いてくれる?」

 

この言葉を聞いたそらさんは「うん。そらちゃんテレビで観たのだいぶ前だから間違ってるかもしれないからママのを聞かせてくれる?」とちょっと恥ずかしそうに言いました。

よしよし。と思った私は、フレンチトーストの王道レシピを簡単にそらさんに伝え、「どうする?」と聞きました。

この「どうする?」はそらさんのレシピで作ってみる?ママのレシピで作る?の「どうする?」です。

そらさんは「うーん…」と少し考えてから、こう答えました。

 

「やっぱりママのレシピで作る!だってそらちゃんのより美味しそうだもん!それにそらちゃんの言ってるのは間違って覚えてるかもしれないし…」

 

か…かわいい!!

 

そして何度もこう言いました。

 

「ママもちょっとだけ手伝ってくれる?牛乳とかどれくらい入れるかとかわからないから。でも、でもね、手伝うのはちょっとでいいからね。そらちゃん自分でやりたいんだ。ママが手伝うのはちょっとだよ。」

 

か…かわいい!!

 

私と亮一さんとそらさんで話し合った結果、『月曜日の朝にフレンチトーストを作ってもらおう!』ということになりました。

結果、日曜日のお昼ぐらいからソワソワし始めたそらさん。

私にこんなことをたくさん確認します。

 

「あのさ、ママ。牛乳は買った?ちょっとは手伝ってくれるんだよね?」

「あのさ、ママ。卵は?あるんだっけ?」

「あのさ、ママ。お砂糖は入れるんだっけ?」

「あのさ、ママ。ママもキッチンのそばにいてくれるんだよね?」

 

か…かわいい!!

 

そしてミッション当日。

 

「そらちゃーん!フレンチトーストの日だよぉー!」

 

こう言って起こす私。

 

「うん!やろうやろう!」

 

嬉しそうに起きるそらさん。

 

「ママ、もうキッチン行っていいの?ママが先に準備する?」

 

そらさんはとても落ち着いた子なので、まず私に状況を聞きます。

偉い。

私は「ちょっと準備するから待ってて。」と言い、そらさんは「準備終わったら教えてね!すぐ行くから!」とやる気満々。

 

か…かわいい!!(←しつこい)

 

 

私はそらさんと一緒に料理をするのが好きで(そらさんが喜ぶからね)、そらさんが3歳くらいのころから一緒にキッチンに立ち始めたのかな?

楽しいし喜ぶし好きなんだけど、まーめんどくさいんだよね。

準備がさ。

 

どうやったらそらさんがやりやすいか。

どれだけ準備しておいたら危なくないか。

どこをどうサポートしたらいいか。

汚されてもイライラせずにいられるか。(←ここ結構重要ポイントだと思う。)

 

最初の頃はまだ手も今より小さかったし、出来ることも限られていました。

だからほとんど私が作っているようなものだったのだけれど、今のそらさんは出来ることも増えてきている。

そしてほんとは全部自分でやりたいと思っている。

 

私はキッチンで準備をしながら「うむむ…」と唸りました。

そしてこう呟きました。

 

「む…むずい…」

 

そう。

難しいのです。

もっと小さかった頃より準備が難しいのです。

 

これからもっと自分で料理をしたいと言い出すであろうそらさん。(わかんないけどね)

道具がどこにあるかも知っていった方がいいだろうし、材料をどうやって準備したらいいのかも知っていったほうがいいのでしょう。

でもある程度の準備はしておかないと、いっぺんにたくさんのことは覚えられないだろう。

 

「うむむ…」

 

私はたまにこんな声を出しながら、フレンチトーストをそらさんが作りやすいような準備を考えました。

今回は『私がどれだ手を出さないでいられるか?』が私のミッションなのだと思いながら。

 

「そらちゃーん!準備できたよー!」

「ほんと?!わーい!!」

 

私が呼ぶとそらさんはすっとんできました。

 

「ママ、準備意外と早かったね!」なんて言いながら。

(私は『うむむ…』と言っていたんだぞ。と内心思いながら)

 

「じゃあ~…まずフランスパンを切ろうか。」

「うん!」

 

そらさんの目が輝く。

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パジャマのままっていうのが藤山家のだらけ具合をあらわしておりまする。

 

そらさんが包丁を握る姿をみるのは未だに怖い。

だから私はすぐに「ぐっ…!ぬっ…!ぬはっ…!」みたいな声が出そうになってしまう。

そして「あー!あのさ、こっちの手はこうで…」と教えたくなってしまう。

私はそれをぐっっっっ!!!っとこらえる。

「わー!うまいうまい!そうそう!」と何食わぬ顔で褒めたりする。

で、なんとなーく「あのさ、こうやった方が危なくないと思わない?」とかるーく言う。(←実はめっちゃ必死。)

そらさんは「あーそっかぁ。」と素直の私の言うことを聞き、すぐに言われたことをやろうとする。

け…健気や…

 

「さー卵液つくろっかー」

「うん!ママ、牛乳の量教えてね。」

「おう!」

 

そんなやりとりをして卵液をつくる私たち。

「卵割ってー牛乳は…これくらいかなー。お砂糖も少し入れようかー」

私の言うことを真剣に聞くそらさん。

「これくらい?これでいいの?」

そんな言葉を口にするそらさんから『聞いたことは1つ残らず吸収してやろう!』みたいな雰囲気を感じる私。

この子はすごいな。

 

「さて。30分くらい卵液につけておこうか。冷蔵庫に入れておいてくれる?」

 

大き目のタッパに卵液を移し、切っておいたフランスパンをポンポン入れて浸しておく。

そのタッパに蓋をしてもらい、冷蔵庫にも自分で入れてもらう。

なるべく自分で。

なるべくそらさんに。

 

「じゃあ30分間テレビ観ててもいい?30分たったら教えてくれる?」

 

可愛い声で聞くそらさん。

 

「うん。わかった。でもさ、そらちゃんも気にしておいたら?今から30分だと…何時何分?」

「えーと…今が15分だからぁ…」

 

こうやって計算も覚えるし、時計も読めるようになるんだね。

そらさんは終始時計を気にして「もうそろそろだよね?」と言っていました。

まるで30分を少しでも過ぎたら失敗してしまうと思っているような口ぶりで。

そんな姿も可愛くて、健気だなぁと見ていたんだ。

 

さて。

いよいよ焼きに入る時間。

私はあらかじめ小さく切っておいたバターをキッチンに置きました。

 

「ママはあんまり手伝わないでよ。そらちゃんがやるからね。」

 

念を押すそらさん。

 

「うんうん。じゃあ火をつけてくれる?」

「うん!」

 

「じゃあバターをフライパンに入れてくれる?」

「うん!どれくらい?」

「うーん…これくらいかなぁ…」

「そらちゃんが入れる!」

「あぁごめんごめん。」

 

愛しいやりとり。

 

「そうしたら、こうやってフライパン全部にバターを行きわたらせてぇ…」

「うん!やってみる!」

 

真剣なそらさん。

 

「もうあとはフランスパンを優しく入れて焼くだけだよ。焼き目がついたらひっくり返してね。」

「うん!」

 

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壁の油のシミは見ないようにお願いします…

 

「じゃあ…ママはキッチンからでます!一人でできる?」

「うん!そらちゃん一人でやる!」

 

真剣にフレンチトーストを焼くそらさん。

私はキッチンの外には出たけれど、なんだか落ち着かない。

亮一さんも「え?そらが今焼いてるの?」と言いながら見に行っちゃう。

そんな全てがなんだか嬉しくて、ちょっとだけ泣きそうになってたことは内緒です。

(亮一さんがウザいって言うからさっ!)

 

「ママー!焼き目ってこれくらいでいいのー?!」

 

キッチンから呼ぶ声が聞こえると急いで向かってしまう私。

 

「えー?どれどれ?そうねぇ…」

 

と言いかけたところで、私は口をつぐみました。

そしてこう言いました。

 

「そらちゃんがこれくらいでいいやって思うところでいいよ。やってごらん。」

 

私がこう言うと、そらさんは「うん。わかった!」と真剣に焼き目を見ていました。

 

ふぅ…

 

それから数分後。

キッチンから元気な声が響きます。

 

「できたよー!」

 

私と亮一さんは「おー!できたかー!」と声をあげました。

 

「はーい!できましたよぉぉ」

 

ちょっと得意げな顔でキッチンからテーブルに運んでくるそらさん。

その完成品はこちら。

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上手に出来てる!!

 

すごく美味しくて、とっても上手に焼けていました。

私と亮一さんはそらさんが初めて作ったフレンチトーストをよーく味わって、そして「美味しいよー!すっごく上手!!」と何度も何度も言いました。

そらさんは「ほんと?よかったぁ!」とはにかんだ笑顔を見せました。

私はその時間、しみじみと幸せを感じていました。

 

8歳になったばかりの娘、そらさんが初めて自分でフレンチトーストを作った。

ただそれだけのことです。

でもその中にはもんのすごくいろんなことが詰まっていました。

 

 

私はこの出来事でこんなことを知りました。

 

『教える』と『口を出す。手を出す。』は全然違う。

でもその境界線がとても難しい。

 

 

つい口を出したくなるのはどうしてだろう?

つい手を出したくなるのはどうしてだろう?

 

これを読んでいるあなたはないですか?

こういうこと。

どうしてだと思います?

 

もう一度じっくり考えてみよう。

そして『待つ』ができるようになりたいな。

これが一番難しいからね。

 

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「お料理をする時は使ったものをちゃんと洗うものだよ」という私の教えを忠実に守るそらさん。健気だ。

 

読んでくれてありがとうございます。

ではまた。