藤山家においでよ

横浜のパワースポットと化した藤山家。施術、お料理、お話し会などを通じて『幸せに生きる』を実験、研究しています。

私のコト㊳

みなさんこんにちわー!

 

ワタクシ昨日謎の腹痛に襲われ、午後から1人寝込んでいたんです。

ダンナちゃんにそらさんのゴハンやらのお世話をお願いして。

 

1人お布団のお部屋で腹痛に耐えながらゴロゴロしていると、テレビを見ながら

しゃべっているそらさんの声が聞こえてきます。

ダンナちゃんは夕飯作りをキッチンでしております。

そらさん、完璧に独り言です。

 

『うわぁ~~カワイイわんちゃん!!かぁわぁい~い!』

 

どうやらテレビにカワイイ犬さんが出てきたようです。

でその後。

 

『あぁ~あ…ママにも見せたかったなぁ…』

 

か、かわゆす…

そして泣ける…

 

そしてその話しを今朝そらさんとパパにしたんですよ。

 

そしたらパパがね

 

『へぇ~!そらちゃんそんなコト言ってたんだぁ~

夕飯の時は「ママのお腹痛いの変わってあげたい」って言ってたよー』

 

なんてコト言うんですよ!

 

うぅ…

優しい…

 

以上。

そらさんが可愛くて優しいという話しでしたー

2日続けて親ばかですいません。

 

さー

続きいきましょー!

 

 

Tさんと夜をともにした小娘ゆっきぃ。

喜びも嬉しさもない、でも後悔もない、なんとなく淡々とした夜だった。

Tさんがどんどんヒートアップしていっているのを感じれば感じるほど

こちらはより淡々としていくのを感じていた。

 

朝起きるとTさんはいなくなっていた。

 

どこ行ったんだろう?

 

私はぼーっとしながらテレビをつける。

コーヒーを淹れながら、Tさんが戻ってくるのか帰ってしまったのかわからないコトに

少しイライラする。

 

しばらくするとTさんがガチャっと部屋に戻ってきた。

 

「ゆきえさーん!おはよう~コーヒー飲みに行こう~!」

 

「え?今コーヒー淹れてるんやけどー。どこ行ってたん?」

「あー!ごめんごめん!一軒目のコーヒー屋さん行ってたんや。この辺は来たことなかったから、良いコーヒー屋さんがあるか見てきたんや。一緒に行こうやー」

 

Tさんはニコニコと嬉しそうに私を誘う。

 

そっか…

この人は一日に何軒もコーヒー屋さんに行くんだった。

 

「もう。帰ったのかと思ったわ。戻ってくるなら言ってくれなわからんやろ?」

「だって…ゆきえさんぐっすり寝てたから…ごめんやでー。」

 

こちらが不機嫌な態度をとるとシュンとする。

 

数日前までTさんをすごい人だと思っていた。

ミナミでTさんを味方につけたら絶対“ハク”がつく、“格”が上がる、

そう思っていた。

 

その人が今私の目の前でシュンとしている。

そして私はその出来事に少し優越感を覚えている。

 

「ええよ。じゃ一緒にコーヒー屋さん行こう。」

 

私がこう答えるとTさんは一瞬にして笑顔になった。

 

コーヒー屋さんでTさんは必ずアイスコーヒーを注文する。

 

「ゆきえさん!俺な、もうこれからアイスコーヒーにガムシロもミルクも入れへんことにしたんや!美味しくないけどガマンすることにしたんや!」

「えっ?!そうなん?どうして?」

「ちゃんと病気治そう思ってるんや!ゆきえさんのお陰やで!」

 

なんかおもしろい。

50代半ばのおじさんが、アイスコーヒーにガムシロとミルクを入れないコトに

した!という宣言をこんなに一生懸命に小娘の私にするなんて。

そしてそれが私のお陰だ!なんて。

 

私はそのコトがあまりにおかしくて笑った。

 

「あはははは!そーなんや。なんか面白い!あははは!

ガマンして偉いなぁ。マズいんやろ?でもガマンするんやなぁ。あははは!」

「ゆきえさん!!笑い事ちゃうで!もう…笑わんといてやぁー。一生懸命やるんやからなぁ!」

 

ぷぷっ。

なんかTさんカワイイなぁ。

 

Tさんは私に出会ったから病気を治そう!と決めたらしい。

それまでは『もういつ死んでもいっかぁ』くらいに思っていたらしい。

 

「ゆきえさん。俺はこの後パチンコ行ってサウナに行くから、夕方待ち合わせて一緒にゴハン食べよ!で、同伴しようか?あ、誰か同伴の約束入ってる?」

「え?同伴?いいの?今日は誰も約束入ってへんよ。」

「同伴いいにきまってるやろ!じゃ、あとで美味しいもんゆっくり食べよな。

ゆきえさんは何がいいかなぁ~♪楽しみにしといてやぁ~」

 

Tさんと初めて同伴出勤をする。

 

りおママや先輩ホステスさんたちはどんな反応するだろう?

楽しみになってきた!

 

 

夕方、待ち合わせの店に着く。

 

素敵な小料理屋さん。

こじんまりしている店内。

うるさいわけじゃない、程よい活気のあるお店。

 

「ゆきえさーん!こっちー!」

元気にTさんが私をよぶ。

 

「ゆきえさんはお魚とお野菜が好きって言ってたやろ?

ここは何食べても美味しいんやでー」

 

Tさんは終始私にサービスしてくれる。

普通はホステスがしなければいけない気づかいを全部Tさんがやってくれる。

「ゆきえさんはサービスしなくていーの!!俺がやるの!」

そう言いながら。

 

「あのさ、今日同伴してくれるのすごく嬉しいんやけどね…りおママとか大丈夫かな?」

「なにが?大丈夫やろ!ゆきえさんのコト気に入ってるって姿見せておいたら

ゆきえさんはあのお店でもっと大事にされるやろ?それがええねん!」

 

私は楽しみにしている反面、りおママのヤキモチが怖かった。

そしてなによりTさんと“寝た”という事実がバレるのが嫌だった。

私は“寝て”お客さんを掴むのか、と思われるのが不本意だった。

 

「俺はゆきえさんが不利になるようなコトは絶対に言わないし、絶対にやらないから安心してや。絶対やで!応援するって決めたんやからね!」

 

夜の世界を熟知しているTさん。

ちゃんとわかっていた。

 

「あ!ゆきえさん!お店に電話した?同伴の連絡入れたんか?大丈夫?」

 

こんなコトまで気にしてくれる。

そう。

同伴出勤時は事前にお店に誰と同伴するのか連絡を入れておかなければいけない。

席の準備をしておいてもらわなければいけないからだ。

こんなことを気にしてくれるお客さんには未だ会ったことがない。

 

うーん…

やっぱりTさんは普通のお客さんとは違う。

 

お店には事前に連絡を入れていた。

今頃りおママは私とTさんが同伴することを知ってびっくりしているだろう。

 

 

お店に着き、ドアを開ける。

少し緊張しながら。

 

「Tちゃん!いらっしゃーい!ゆきえちゃんと同伴してくれたん?!

ありがとう~!」

 

ママは上機嫌だ。

 

「別にお前にありがとう言われる筋合いないわ!ゆきえちゃんが気に入ったからゴハン食べに行っただけやわ!」

 

さっきとは態度が一変したTさん。

 

急にカッコイイ。笑

 

お客さんはゼロ。

 

先輩ホステスさんたちがカウンターで待機している。

 

「Tちゃん。一番おっきい席用意しといたからな!女の子たちみんな席に座らせてもええやろ?」

 

「またっ!俺はなんなんだよ。まーいいや。みんな座ってやー。お客さんまだいないんやからみんなで飲んで休憩休憩!」

 

こういうお店で、待機しているホステスさんたち全員を座らせるお客さんはほんとにいない。

全員を席に座らせていいやろ?とママが聞かないし、聞けないから。

そしてお客さんはお気に入りの女の子やママと話したいし、あわよくば口説きたいから。

 

でもTさんは昔からこんな感じらしい。

ママにとってはほんとにありがたい存在なんだと思う。

 

一番大きなボックス席にみんなで座る。

 

以前の周年の時には私は端っこに座った。

ママと他の先輩ホステスがTさんの周りを囲んでしまったからだ。

 

でも今日は違う。

 

Tさんの隣にママ。

そしてもう一方の隣に私。

 

そしてTさんが私にかいがいしく世話をやく。

 

「ゆきえちゃーん!お酒俺がつくってあげるからなぁ。」

 

それを見たママと先輩ホステスさんたちはすごく戸惑っている。

 

「ちょっとちょっとTちゃん!なんなん!これどういうコトなんよぉ~?

ちょっとぉ~、これは焼くわぁ~」

 

ママがすかさず突っ込む。ふざけながら。

 

「ええやろぉ~。ゆきえちゃんええこやねんもん。なぁ~ゆきえちゃん♪」

 

Tさんはわざとやってるんだ。

これも応援か。

 

Tさんはこれでもかというぐらい私を持ち上げる。

そしてすごく気に入ってるんだというアピールをする。

 

うん。

悪い気はしない。

 

先輩ホステスさんたちは

「ずるーい!ゆきえちゃんばっかりかわいがっちゃってー!私たちもお食事連れて行ってくださいよー!」

とふざけながらTさんに詰め寄る。

 

Tさんは

「なんで俺がお前たちを連れていかなあかんねん!他に良いお客さんいっぱいおるやろがー」

と私に向かう時と全く違う態度をとる。

 

うん。

こりゃ悪い気はしない。

 

その時、4人組のお客さんがお店に入ってくる。

ママがすかさず「あー〇ちゃん!いらしゃーい!」と腰を浮かせる。

小さな声で「Tちゃん。まだ帰ったらあかんで!」と付け加えて席をたつ。

 

「うるさいなぁ~はよ行けやー。ゆきえさん、あのお客さんたちはゆきえさんのコト気に入ってるお客さんか?」

 

私に小声で聞くTさん。

 

たしかに4人組のメインのお客さんは今私を気に入っている。

奥の席に案内されるとき、私がTさんのとなりに座っていることをチラッと見ていた。

 

「うん。あのメインの方が今私を気に入ってるみたいなんや。」

「そっか。わかった。がんばってよー!」

 

そう言いながらTさんは席をたつ。

「じゃ、もう行くわー!帰るからー」

「えっ?!まだいいじゃないですかー!」

先輩ホステスさんたちが引き留める。

「もうええやろー。かえるわー。」

ママがTさんのとこに駆けよって

「Tちゃん、ありがとうな。あの人たちゆきえちゃんのコト気に入ってんねん。

わかって立ったんやろ?」

と小声で話す。

「そりゃそうやろ。ゆきえちゃんは人気者やからなぁー。ま、また来るわ。」

 

最後まで私を持ち上げる。

そして気を使ってくれる。

 

「じゃ、見送りはええからなー!」

 

へぇ~…

こういうとこ、やっぱりかっこええやん。

そう思いながら、私はその4人組のお客さんの席に着く。

 

その日の店終わり。

ママは私にこう言った。

 

「ゆきえちゃん。よくTちゃんと連絡着いたなぁ。どうしたん?

Tちゃんが応援してくれるなんてほんとにすごいコトやでー。

でもな…たくさんの女の子応援してるみたいやからな。

ゆきえちゃんの為に言うんやけどな、のめり込まんほうがええからな。

気ぃつけなあかんで。」

 

ママは私がTさんにのめり込むかもしれないと思っている。

そしてそれを心配してくれている。

 

そうか。

そう見えるのか。

 

実際は真逆なのに。

 

この後、私はホステスとしていろんな経験を積み重ねていく。

 

お客さんからの洗礼、先輩からの洗礼、ママからの洗礼…

 

さてさて。

どんな洗礼を受けるのか?

Tさんとの関係は?

コバ君とはどうなるのか?

 

気になる??

 

つーづーくー