土曜日の夜。
「お休みぃ~♡」とキスをしてお布団に入った後、隣で寝ているそらさん(娘8歳。かなり可愛い。)がずっとゴソゴソと動いていた。
珍しくなかなか眠れないんだなぁと思いながらも、そのうち寝るだろうとほっといた私。
どれくらい経ったころだろう。
そらさんが私の背中に小さな手をそっと置いて「ママ…」と声をかけてきた。
こういう時はだいたい「トイレ行きたい…」と言う時なので、私は「ん?」と振り向いて「トイレ?」と聞いた。
ら。
「…うぅ…なんかね…悲しいこと考えちゃったの…」
と、そらさんがボロボロと泣いていた。
一生懸命流れてくる涙を手でごしごしと拭いながら。
「え?そうなんだぁ。悲しいこと考えちゃったんだ…。そうかそうかぁ。」
突然のことで驚く私。
さっきまでケラケラと笑っていたのに。
「…うん…。ママ…寝てたのにごめん…うぅ…」
ポロポロと涙を流しながら私に謝るそらさん。
…切ない…
「えぇ?!そんなのいいんだよぉ…どんな悲しいこと考えちゃったの?それは聞かない方がいい?」
こんなに泣いているのに私に気を使っていることが切ない。
私はなんとかそらさんの胸中にあるであろう“何か”を吐き出させたいがために的確な質問を高速で考え、そして話しを聞く姿勢を整える。
「…うん…それはうまく言えないんだけどね…あのね…」
そらさんは最初はぽつりぽつりと自分の小さな胸の中にあるソレを話し出した。
「こうやって悲しいことを考えちゃうことが寮で寝てる時もあるの…うぅ…でもね、もう寝てるし、寮母さんに慰めて欲しい時もあるけどね、きっと寝てるだろうし、起こしたら怒られちゃうかもしれないでしょ?…だからね、いつもは我慢するのぉ…うえーん…」
そらさんの『吐き出し』はそれから少しずつエスカレートしていった。
「我慢できるときもたくさんあるんだよ。悲しいこと考えちゃって一人でベッドで泣いててもおさまるときもたくさんあるんだよ…うぅ…でもね、今日はどうしてもママに慰めて欲しくなっちゃったのぉ…うぅー…ごめんねぇ…」
私はそらさんのその言葉を聞いて、切なくて情けなくて泣きそうになった。
「え?全然いいんだよぉ。ママなんてさ、そらちゃんの話しを聞くためにいるようなもんなんだから…。楽しい話しはもちろんだけど、悲しい話しも辛い話しも困ってる話しも全部聞きたいよ。それぐらいなんだから。ママができることなんて。今日は言ってくれてありがとうね。」
はぁ…
こんなことしか言えない私、やだ。
そんな私にそらさんはこんなことを言いました。
「でもさ、なんかさ、ママに相談したいけど、こんな夜に泣いたり相談したりばっかりしたらさ、ママは心配しちゃって気を使うようになっちゃうかもしれないじゃん…あとさ、なんかさ、笑わないママとか世の中にいるでしょ?怒ってばっかりのママとかいるでしょ?ママもそうなっちゃうんじゃないかって心配しちゃうんだよぉ…うえーーん…」
おぉ…
夜に泣きながら相談事をすると『笑わない怒ってばっかりのママ』になってしまうのではないかと心配に…うーむ…
そらさんの中のその構図はよくわかりませんが笑、「ママが心配して気を使っちゃうようになっちゃうかも」という心配はわかるな。
この後そらさんは胸中のあれこれを吐き出しながらわんわんと泣いたのですが、どうやら“いろいろ言いたいことややりたいことをみんなの気持ちを考えすぎてガマンしていた”のが溜まりすぎちゃったということのようでした。
私はなるべくそらさんの表面的な話しの内容に気をとられないよう、余計な口出しをしないよう、そらさんの話しを真剣に聞きました。
「うんうん。そうなんだね。」や「そうかぁ。それは辛かったよねぇ。」くらいの相槌で。
そらさんの吐き出しがそろそろ落ち着いてきたなぁというころ、私は心からの言葉をそらさんに言いました。
これぐらいしか言えないから。
「そらちゃん、あのね。ママはどんなそらちゃんでも大好きだよ。だからどんな話しでも聞かせて欲しいんだ。だから出来たらでいいからなるべく教えてくれたら嬉しいんだ。でも無理はしないでね。言いたくなければ言わなくていいけど、ママはいつだってそらちゃんの話しを聞かせてほしいと思ってるよ。今日は話してくれてありがとう。辛いときはなるべく言ってね。」
私はこの言葉をそらさんに言いながら泣きました。
わんわんと。
なんていうか、すごくやるせなくてね。
自分の非力というか、無力感をビシビシと感じてしまって。
泣いている我が娘(8歳。)の隣でわんわん泣く私(44歳。)。
それはそれは情けなくて滑稽でした。
そんな私にそらさんは
「ママも泣いちゃったの?ママ…ママも言ってね。辛いときや相談事があるときはそらちゃんに言ってね。聞くから。」
と涙を手でごしごしと拭いながら言ったのです。
もうだめ。
そんなことを言わせてしまう私、もうだめ。
ボロボロですよ。
「うー…ありがとう…」(←ボッロボロに泣く。)
情けなさ過ぎて「こんな母親でごめん…」と言いかけそうになった時、そらさんが「そらちゃんもママみたいな優しいママになれるかなぁ…」と言いました。
私はもうなんだかわからずに「そらちゃんはそらちゃんらしいママになればいいよ。」としみじみ言ったその後。
「まぁそもそも結婚するかどうかもわからないし、子どもを産むかどうかもわからないんだけどねっ!あははは!」
…いつの間にかケロッとして笑っているそらさんが目の前に。
「そうだね!あはははは!」
笑ってるそらさんにつられて笑う私。
「あのさ、ママ。ぜんっぜん話し違うんだけどね、この間Yちゃんがさぁ~…」
「うんうん!なになに?」
「それでさぁ~あっははははー!」
「えー!そんなことあったんだぁー!あっははははー!」
…さっきのアレはなんだったんでしょう…?な、あっかるい会話。
「じゃ寝るね!泣いたらすっきりしちゃった!ありがとうママ。おやすみー!」
…おぉ…
あんなにさめざめと泣いていたのに…
この世の終わりのように泣いていたのに…
この気分の変わりようはなんでしょう…
そらさんはひとしきり泣いて話して吐き出して、ケロッとすっきりしてしまったのでした。
そらさんが笑いながら寝たことに安心していたけれど、私は私の中の『やるせなさ』が残ったまんまでした。
なんだかもやもやしたものが残ったまんまでした。
「私、なっさけないなぁ…」と呟いてしまうくらい。
次の日。
私は胸の奥にそのもやもやしたものを残したまんまでした。
でもそのもやもやは小さすぎて、ケラケラ笑って過ごすにはあまり支障がありませんでした。
なので相変わらず「あはははは」とケラケラ笑って3人で過ごしておりました。
午後。
亮一さんが「チケット取っちゃったよ。」と言いました。
とうとうインドに行くチケットを取ったと報告してきたのです。
ずっと迷っていた亮一さん。
「行くかどうかわかんないよ。」と言っていた亮一さんがとうとうチケットを取った、と。
私は「おおー!とうとう決めたかー!よかったねぇ!」と言ったけれど、その直後に自分の中にもやもやが充満していることに気付いたのです。
なんだかとても居心地が悪いのです。
もやもやして気分が悪いのです。
「なんか…いざ決まると不安になるね。…寂しいなぁ…。」
私の口からはこんな言葉が出ていました。
「そうだよね。俺も不安だもん。俺も寂しいし。」
亮一さんは冷静にそんなことを言っていました。
その後、私のもやもやは増すばかりで、不満や不安がたくさん湧いてきました。
脳内ではいろんなストーリーが巻き起こります。
「私たちのこと置いて行っても平気なんだ。」
「結局この人は私のことなんて気にしてないんだ。」
「いいよね、子どものことを任せていかれる人は!」
「ほんとは結婚したことを後悔しているんじゃないの?だって私たちがいなかったらもっとこの人は自由に動けるんだから。」
「どこまでいっても私ばっかりがこの人のことを好きで、この人は私のことなんて好きじゃないんだ。」
挙句の果てにはこんなことまで。
「もう…だめかもしれない…(さめざめ…)」
(↑上記の内容はいっさい亮一さんには言っておりません。あくまで脳内ストーリーです。)
もうこれが全て。
これがほんとの世界だと思い込んでいるのです。
でも幸運なことに私にはいくつも視点がある。
こう思っている自分に『気付いている自分』が在る。
そのストーリーに埋没しそうになりながら、どこかで気づいている自分が「あれ?これは一回思いっきり泣かないと抜け出せないやつだな…」と観ている。
で、夕方。
私は嫌ぁな気分のまま、夕飯の支度を始めました。
途端に泣けてくる。
ただ夕飯の支度を始めただけなのに、ボロボロと涙が出てくる。
私は一瞬これを止めようとするのだけれど(バレたら恥ずかしいとかなんで泣いているか聞かれたくないからとかの思いで。)、ここで止めたらダメだと思い、身体に任せる。
野菜を用意しながらボロボロと涙を流す。
お肉を切りながらボロボロと涙を流す。
玉ねぎを切りながら、今はボロボロ涙を流しても違和感ないなぁと思いながらボロボロ涙を流す。
時々鼻をちーーんとかみながら。
どれくらいボロボロと涙を流しただろう。
私は「はぁー!」とひとつため息をついた時に「あれ?」と気づく。
なんか…
スッキリしてる!!
あれ?
さっきの不安や不満はどこ行った?
さっきまで「きっと亮一さんはうんぬん…」って言ってたよね?私。
えーと…
なんて言ってたっけ?忘れちゃったなー。
あー!亮一さんはインド行きのチケットとったんだよね!
よかったよかった!
楽しみだなー!あはははー!
↑これ、ほんの数時間の出来事。
滑稽だと思いませんか?笑
そらさんと一緒!!ウケる!!
その後私は今日自分に起こった出来事を夕飯を食べながら亮一さんに報告しました。
「さっきまでいたたまれないくらいもやもやしてたんだけどさー、泣いたらすっきりしちゃったよ。泣く前と後じゃまるっきり気分が違うって滑稽すぎるんだけど!ウケる!あはははは!」
と。
亮一さんは私のその話しを聞いて「そうなんだねぇ。でもよかったよ。安心しました。」と優しく言いました。
「で?結局そのもやもやの発生は何だったと思うの?」
亮一さんが私に聞きました。
このもやもやはいつどこで発生したのか。
そらさんとの昨日の夜の会話が発生源なのか。
私には明確な答えがありました。
謎でもなんでもありません。
「え?ただ体調が悪かっただけだよ。」
そうなんです。
ただ体調が悪かっただけなんです。
私、秋の花粉症があるんです。
ブタクサ?ですか?
今年はひどいのですよ。症状が。
だからね、ここのところずっと体調がすぐれないのです。
なのにちょっと無理してたんだね。
ただそれだけ。
滑稽じゃないですか?
笑っちゃうよね。
だからさ、何かもやもやしたことや不安がある人は疑ってみてね。
体調の悪さを!
いっくらでもストーリーをもってこられるからね。
思考ってやつはさ。
それ(思考)をこじらせるとやっかいだぜぇー。
ただ体調悪いだけの時ってめっちゃくちゃあるからね。
って、今日はそれが言いたかっただけでした。
ちゃんちゃん。
(でもね、これってすっごく大切なことだと思うのよー。)
読んでくれてありがとう。
ではまた。
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