藤山家においでよ

横浜のパワースポットと化した藤山家。施術、お料理、お話し会などを通じて『幸せに生きる』を実験、研究しています。

私のコト70

みなさんこんにちわー!

 

もう70回目になりましたねぇ。

 

まだまだまだまだ終わる気配はありませーん!笑

 

もうね、どんどん赤裸々に明かしていってしまいますからねぇ。( *´艸`)

 

 

さてさて。

私の旦那さんの藤山亮一さん。

昨日急に「これから一週間ほど続けて俺が夕飯作りを担当する!」と言い出しました!

 

今までは週に2回ほど夕飯担当だったんです。

 

そしてね、彼は一年半くらい前まではお料理が全然できなかったんですよ!

それが!そーれーがー

 

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こんなカレーを作っちゃったりするんですよー!

ジャガイモとカリフラワーのカレー!!

カレールーは使わず、何種類かのスパイスを組み合わせてくるんです。

これが美味いのよ!!!

 

昨日気づいたのですが、私が今までお付き合いをしてきた男性はたいがいお料理ができない人でした。

 

お料理できたとしても妻子ある男性だったりで私のお部屋に招くので、なんだか私がいつも作ってる…という流れだったり。

 

男性がお料理を作ってくれて、私は何が出てくるか楽しみに待ってる…

それが一週間も続く…

そして後片付けも全部やってくれる…

 

こんなコト!はじめてーーーーー!!!

 

私に!こんな日が!訪れるなんてっ!!

 

今日の夕飯なにかなぁ~♪なんて思う日がくるなんてーーーー!!

 

あー嬉しい。

あー幸せ。

亮一さんサイコー♡

 

さて、この一週間どんなお料理を食べることができるかなー

 

そして亮一さんがキッチンでテンテコマイの姿がどれだけ見られるかな?笑

(昨日も割とテンテコマってました。可愛いんだ( *´艸`))

 

私は楽しくブログを書いて、楽しくお仕事のこと考えよーっと。

 

 

さてさて。

続きいきますねー

楽しんでくださいませー

 

 前回はこちら♡

私のコト69 - 藤山家においでよ

最初から読みたい方はこちら♡

私のコト① - 藤山家においでよ

 

 

木田さんの車で家まで送ってもらうことになった小娘ゆっきぃ。

二人きりの車内に緊張しまくりで話すことすらできず戸惑っていた。

そんな時、木田さんが「あそこで一緒に寝よう」と指さした先には

ラブホテルがあった。

 

えーーーーーーーー!!!!

 

何?

どうした?!

木田さんは何を言い出したんだ?!

 

えーとえーと…

 

…どうしよう…

 

「もう眠くてあかんから入るで。ええやろ?」

 

へ?

ええやろ?って?!

 

「え…えっと~…うーんと…どうしよう…」

 

頭の中が真っ白だ。

今何を言われてるのかがまるでわからない。

 

ママが憧れてた大事なお客さんだ。

Kさんの時とは訳が違う。

 

今日初めて会った人。

ママの大事なお客さん。

私が一目ぼれしてしまった…?のか…?の人。

 

ラブホテルに一緒に入る?

それってそういうコトですよね?

そうですよね?

 

でもほんとにメチャクチャ眠そうだ。

もう今すぐにも眠りたい!

そんな感じの目をしている。

 

うーん…

眠るだけなら…いいか…

 

「なんもせぇへんよ。ほんまに眠いんや。」

「えーと…じゃあ私はソファーで寝ます。それでいいですか?」

「ええよ。一緒にいてくれればええって。」

「じゃあ…はい…」

 

 

うおおおおおお!

 

「はい。」と言ってしまった。

もう戻れない。

 

でもでもでも。

なんもせぇへんって言ってるし!

私はベットで寝なきゃいいんだし!

そうそう!

だいじょぶだいじょぶ!

木田さんがぐっすり眠ってくれればいいんだ!

 

さっき木田さんが指さしたラブホテルに入る。

 

パネルで部屋を選ぶ木田さんの横で私は落ち着かず

キョロキョロしてしまう。

もう何度もラブホテルなんて入ったことあるのに

こんなに緊張したのは初めてだ。

 

木田さんは畳敷きのお部屋を選んでくれた。

ベットとソファーがロータイプのお部屋だ。

 

「ゆきえはほんまにソファーで寝んのか?この部屋ならソファーでも寝やすいかなぁ。」

「はい!ソファーで寝ます!寝やすい部屋にしてくださってありがとうございます!」

 

緊張しすぎてやたら生真面目にこたえてしまった…

一緒にラブホテルに入った男女のするやりとりか?

 

ほっ。

でもよかった。

これで何事もなく朝が迎えられそうだ。

 

「眠いけどシャワー浴びてくる。ゆきえも浴びるか?」

「はい。じゃ後で浴びます。先にどうぞ。」

「うん。寝ててもええからな。」

「はい。」

 

 

って!寝れるわけねーじゃん!!

はぁー…

早く朝こーい。

何事もなく朝こーい。

もうこの時間がいたたまれないよー

 

 

バタンッ!!

 

木田さんがシャワーから出た音がする。

 

ドキドキドキドキ。

 

「起きてるか?お待たせ。。」

「ははははい。木田さんどうぞ寝てくださいね。では行ってきます。」

 

 

「では行ってきます。」ってなんだよ!

もーう!

え?

シャワー浴びたら何着たらいいの?

このラブホの変な服?

あ!

さっき木田さんこのラブホの服着てた!

 

なんか似合ってたなぁ…♡

 

いやいやいや。

今はそんな時じゃない。

私もコレ着るの?

そーだよねそーだよね。

シャワー浴びてまたさっきの服着てたらおかしいよね?

派手なホステス服をまた着たらおかしいよね?

でもさでもさ、このラブホ服着たらなんかヤル気まんまんな感じしない?

オッケー出してるって思われない?

どう?どう?どうよ?

 

わーーー!!

もうわかんないっ!!

 

もういいや!

シャワー浴びてこの変な服着よう!

そんでソファーで寝ちゃおう!

きっと木田さんももう寝てるって!

 

 

とにかく疲れるシャワータイムだった。

私はラブホの変な服を着てお部屋に戻った。

 

木田さんはもうベットに入っていた。

もう寝てしまったかもしれない。

声をかけない方がいいな。

 

すんごく小さい声で一応言った。

 

「おやすみなさい」

 

ソファーに横になり、余っていたバスタオルを上にかける。

 

電気は…

真っ暗にした方がいいのかなぁ…

この間接照明のままでいいのかなぁ…

スイッチどこだろ?

 

少し頭を上げてスイッチを探す。

 

と。

 

ベットから手がにょきっと出てきた。

 

ん?

 

おいでおいで。

おいでおいで。

 

木田さんの手が『おいでおいで』してる。

 

えー…と…

 

「ゆきえ。おいでー。」

 

はい?

 

「はよおいで。」

 

もー泣

やめてよぉー泣

 

「いやいや。いきませんよ。早く寝てください。」

 

ほんとはいきたい。

 

のか?

いや、だめだ。

 

「ゆきえー。おいで。」

 

やだ。泣

もうほんとにやめて泣

 

「だめですよ。」

 

ほんとはダメじゃない。

木田さんと一緒に寝たい。

 

でもダメだ。

 

初めて会った人!!

ママの大事なお客さん!!

ダメ!!!

 

「ゆきえー。こっちこないと眠れない。ゆきえをソファーで寝かす訳にいかへんやろー」

 

うーん…

かといって木田さんをソファーに寝かすのも嫌だ。

 

はぁーん!

もうっ!!!

 

「もう~!なんなんですかー。じゃ行きますよ!」

 

負けた。

木田さんのしつこさに負けたんじゃない。

自分を制御することに負けた。

 

私は木田さんが寝ているベットに入った。

 

「何にもしないって言いましたよね?」

 

よく聞くありきたりな言葉。

一応女として言っておく。

 

「言ったで。でもそれ嘘やねん。」

「わかりませんでした。」

 

ほんとに半分以上信じてた。

なんもしないって。

これほんと。

木田さんが私を抱きたいなんて思う訳ないと思ってたから。

 

木田さんは私をぎゅーっと抱き寄せた。

そしてキスをして服をどんどん脱がせていった。

 

木田さんのカラダはものすごく私好みだった。

抱き方も愛撫もキスもそしてお○ん○んも全てがその当時の私にとってドンピシャだった。

 

SEXが終わると木田さんは私にもう一度キスをして頭を撫でた。

そしてすぐに眠ってしまった。

 

 

ヤッてしまった…

 

え?

 

あれ?

 

ヤッちゃった?

 

わーーーー!!

ヤッっちゃった?!

 

うわーーーーーー!!!

 

えーとえーと…

 

すんごく気持ちよかった!

のは事実ですけど…

 

どうしよーーーーーー!!

 

 

えとえと、木田さんはきっと私のコトなんて遊びじゃん?

そりゃそーだよね。

初めて会ってラブホに誘ったらついてきてそんで結局SEXしちゃったんだからね。

そうだそうだ。

 

でもさでもさ、りおママにとっては大切なお客さんじゃん。

これでお店に来てくれなくなったらどーすんの?!

いやいやそれよりさ、WさんやRさんと一緒にお店に来てくれたらどんな対応したらいいの?

あ!もしさもしさ『ゆきえは席につけないでくれ』なんて言われちゃったらどうしたらいいの?!

 

うわーーーーー!!!!

 

マズいことやってもうたー!

これ絶対マズいよね?

これはヤバいよね?

 

 

ひーん…泣

 

どうしよう…

 

 

 

でも…一番マズいのは…

 

…私が木田さんのことをすんごく好きになっちゃったってことだ…

 

 

どうしよ…

こんなことは初めてだ…

 

 

 

私は結局一睡もできなかった。

 

隣でぐっすりと眠る木田さんの顔を見ては溜息ばかりついていた。

 

木田さんは起きたらどんな態度かな…

よそよそしくされたらどうしよう。

めんどくさそうな態度をされたらどうしよう。

 

私はどんな態度でいればいいんだろう?

 

きっと、いや絶対私はまた木田さんに抱かれたくなる。

その時はどうしたらいいんだろう。

 

 

7時半。

携帯のアラームが鳴る。

 

木田さんがゴソゴソと動きだす。

眠そうな目をしながら私のほうを見る。

 

ドキドキドキ…

 

「おはよう。眠れたか?」

 

優しく聞きながら私の方に顔を近づける。

 

「えーと…全然眠れませんでしたー笑」

 

私は笑いながら答える。

 

「え?!全然?!なんでや?」

 

木田さんはびっくりしながら聞く。

 

「なんか…いろいろ考えちゃいましたー笑」

 

やっぱり私は笑いながら言う。

 

「そうかぁ…。心配せんでもええよ。今度食事に行こな。」

 

木田さんは私を抱き寄せながら頭を撫でる。

 

なんだか泣きそうだ。

 

「時間大丈夫ですか?もう支度しないとじゃないですか?」

 

泣きそうなのをごまかす。

 

「あー…そやな…もう行かななぁ…。ゆきえ、ごめんやで。」

「全然いいですよ!シャワー浴びてきてください!私は帰ってから浴びるんでいいです!」

 

二人でいそいそと支度をしてホテルを出る。

街ではみんな出勤していく時間だ。

 

「ここから一番近い駅で降ろしてくれたら帰れますから、降ろしやすいところで降ろしてください。」

「送ってあげられへんでごめんやで。」

「いいんですよ!木田さんこれからお仕事ですからね。私はまだまだ眠る時間ありますから!」

 

どこだかわからない駅。

多分家からそう遠くない場所だ。

 

「じゃ、気を付けてくださいね。」

 

私はできるだけ明るく、そしてにこやかにお別れをいう。

『次はいつあえますか?』

の言葉は言わないようにする。

言っちゃいけない気がするから。

 

「おう。ゆきえ、ありがとな。連絡するわ。またな。」

 

 

『連絡するわ。またな。』

そう言ってくれただけでもいいや。

社交辞令でもいいや。

 

これからどうなるかなぁ…

 

 

ボーっとしながら電車に乗る。

通勤客の中に場違いな私。

寝不足のぼろぼろの顔。

派手な服装。

高いピンヒール。

 

妻子ある、初めて会ったお店のお客さんとSEXしてきた小娘。

そしてその人に惚れてしまった小娘。

 

はぁ…

 

帰ってビール飲んで寝よう。

 

夕方にはTさんがやってくる。

それまでに気持ちを落ち着けておこう。

 

 

 

さてさて。

小娘ゆっきぃ。

このあとーどーなるー?

 

つーづーくー

 

 

 

私のコト69

みなさんこんにちはーー!

 

前回のブログを読んで、私のこと心配してくださってる方がメッセージを送って下さったり、実際に会いに来て下さったりして…

 

えーと…

なんだか…

うーんと…

 

 

すんごく嬉しかったです!!

 

ありがとうございます!!

 

未だ朝起きると『ほぉ…今日も朝がきたのだね…』と少し、ほんのすこーし

胸が切なくなったりもしますが、これはまだ大きな“気づき”があった後の足場みたいのが定まってないせいだと思われます。

 

概ね元気です。

 

藤山亮一さんにも甘えまくりです!!(*´з`)

 

あ、藤山亮一さんのアジア旅のことも書きたいのでそれもまた近々。

 

あ、それと!出張整体&出張リーディング&会いたい!と言ってくださった方に会いに行くツアーなるものを思案中なので、その詳細も近々書きます!

地方にどんどん行っちゃいます!家族で!笑

 

さて。

続き行きましょうかね。

赤裸々に

書きますよー!

 

前回はこちら♡

私のコト68 - 藤山家においでよ

 

最初から読みたい方はこちら♡

私のコト① - 藤山家においでよ

 

 

木田さんの出現で今まで味わったことのないような胸のドキドキを感じ、それに戸惑う小娘ゆっきぃ。

戸惑いやどきどきを悟られたくないがゆえ、早々に帰ろうとするが何故かママと木田さんとアフターに行くことになってしまう。

 

 

はぁ…

どんな時間になることやら…

長い夜になりそうだ…

 

そんなことを思いながらお店に入る。

 

ビルの地下一階にあるこじんまりとしたお店。

店内には大音量で誰かが歌うカラオケが流れている。

ボックス席が3つにカウンター席が5つほど。

暗めの店内に小さなミラーボールがくるくるキラキラと回っている。

 

「いや~ん!!木田ちゃんやないのぉ~!!!」

 

噂のゲイのママ(見た目は普通のおじさん)が腰をくねらせて木田さんに駆け寄る。

すぐ横には木田さんの腕をガッツリつかんでどや顔のりおママ。

 

「ひさしぶりやないのぉ~!元気にしとったぁ~?」

りおママが早速攻撃を仕掛ける。

 

「あらぁ~!!りおちゃんやないのぉ~!あ!ママになったんやんねぇ~。

おめでとう!!ちょっと…なんで木田ちゃんと腕組んで一緒に来てるん?

あっ!!あんた達!もしかしてーーー!!」

 

ゲイのママ(見た目はおじさん←しつこい)はわざと大げさに言ってその場を盛り上げる。

さすがだ。

 

「シゲママをびっくりさそう思て木田さんに連れてきてもらったんよぉ~!あはははは!」

 

ゲイのママは『シゲちゃん』と呼ばれているらしく、木田さんとりおママは

『シゲ~!』や『シゲママ』と呼んでいた。

 

「そやでぇ~。ほんまは来たくなかってんで!こんな店~。」

「ちょっと!!久しぶりに来てそれはないやろっ!!木田ちゃん、もーう今夜は帰さへんで~!はよ座り!あら?この子は?」

 

3人でふざけながら話しているのを楽しく見ていた私にシゲママが気づく。

 

「この子な、うちの店の子ぉやねん。ゆきえちゃん。よろしくなぁ。」

 

りおママが紹介してくれた。

 

「ゆきえです。よろしくお願いします!ほんとは来るつもりなかったんですけど連れて来られました!勉強させてもらいますっ!!」

 

シゲママにはこれくらい言っても大丈夫かと思い、言ってみた。

 

「えっ?!勉強?!あんたみたいな小娘にこの店の何が勉強になるっていうのよ!

このブス!!ふんっ!!」

 

うわわわわ…

しまったぁ~…

挨拶間違えたぁ~

 

「相変わらずやなぁ~シゲは。若い子連れてくるといつもこうやねん。」

「ふんっ!なによ!木田ちゃんはいつも若い子やら綺麗な子やら連れてくるんやから!

なに?ゆきえ?なによブス!!」

 

あれ?

挨拶間違えたわけじゃなかったんだ。笑

 

ははぁ~…

昔、ホステスさんとシゲママが木田さんを取り合ってたって…

こんな感じだったんだなぁ。

 

 

りおママが木田さんの隣に座ると

「ゆきえちゃんはこっちの木田さんの隣に座っとき!」

と言った。

 

シゲママが木田さんの隣の席に座らないようにするためだ。

 

木田さんを真ん中にしてりおママと私で両隣を固める。

 

お酒とおつまみの用意をしに行っていたシゲママが戻ってきた。

 

「ちょっと!!二人して木田ちゃんの隣固めて!久しぶりなんやから私を隣に座らせなさいよ!ちょっと!そこのブス!ゆきえ?だっけ?どきなさいよ!」

 

りおママも木田さんも大笑いしている。

 

「ゆきえちゃん!絶対どいたらあかんでぇ!あはははは!」

「シゲ!お前は相変わらずうるさいわ!あははは!」

 

 

木田さんが楽しそうに笑ってる…

この内輪テッパンウケは全く面白くないけど…

木田さんが楽しそうに笑ってるから…いいか。

ブスブス言われてるけど…

木田さんの笑顔が素敵だから…いいか。

それに、いつの間にか隣に座ってるし。

 

ドキドキしながらもたまにちらちらと木田さんの顔を盗み見る。

 

はぁ…

…カッコいい…

 

シゲママとりおママと木田さんは昔話で盛り上がる。

私は時折その話しにちょっとした質問をして、ますます盛り上がるように

促す。

 

そして時折木田さんが私の方をみてこう言う。

 

 

「ゆきえ、飲んでるか?」

 

 

やめて!

そういう優しいのやめて!

嬉しすぎるからやめて!

 

「はい。飲んでますよ。」

 

冷静にニッコリとしながら返す。

 

そんな時、シゲママと木田さんとりおママがなにやらコソコソと話し始める。

 

あー…

なんか私が聞いちゃいけないような話しなんだろうなぁ…と思いながら、なるべく聞かないように店内を見回す。

 

「ちょっと待っててよぉ~。」

 

シゲママが立ち上がりカウンターから何かを持ってきた。

 

手に何かもっているらしく、ギュッと握りしめている。

そのギュッと握りしめた手をテーブルの真ん中に置き、

 

「ちょっと、みんなコレ見て。もっと寄って!すごいんだから!もっと近寄って!

ほら!そこのブスももっと顔近づけて!」

 

なんだろう?

手の中に何が入ってるんだろう?

 

「え?なんですか?え?怖い怖い!え?木田さん中身知ってるんですか?」

「知らん。なんやろな?」

「なんやろ?もっと近づけなあかんのん?」

「そうや!もっと顔近づけて!」

 

シゲママの言う通り、三人でどんどんと手に顔を近づける。

木田さんの顔がすぐ近くにある。

もうほっぺがくっつきそうだ。

その状態にドキドキしながらも中身がすごく気になる。

 

えー…

なんだろ…

何が入ってるんだろう?

 

 

その時。

シゲママが急に大きな声でこう言った。

 

「はいっ!木田ちゃんゆきえの方そのまま向くっ!!」

 

えっ?!

と思った瞬間、木田さんは私の方を向いた。

 

は?

は?は?は?

 

気づいたら私は木田さんとキスをしていた。

 

目を丸くしてびっくりしている私を見てシゲママは大笑いをしていた。

りおママは「ありゃぁ~びっくり!」とふざけていた。

 

「あはははは!ゆきえの目!あんた!ブスがますますブスになってるわよ!

よかったじゃなぁ~い?木田ちゃんとキスできてぇ~♪」

 

シゲママは上機嫌だ。

 

「ありゃりゃ~、こりゃびっくりぃ~!」

りおママは酔っぱらってずっとふざけている。

 

「おーい!ゆきえ~!だいじょうぶかぁ?」

 

木田さんが“悪かったかなぁ…”の顔で私に聞く。

 

「えー!なんですか?今の?もーう!!本気で『何が入ってるんだろう?』ってドキドキしてたのにぃ~!も~う!あ!さっきコソコソ話してたのってコレですね?!ひどーい!」

 

必死でドキドキを隠しながらおどける。

木田さんが困らないように。

 

「やったー!ひっかかったー!ブスがひっかかったー!あれ?ゆきえ?

顔が赤いわよ。あらぁ?木田ちゃんのこと…まんざらでもないのかしらぁ?」

「お?ゆきえ?そうなんか?」

 

はぁ?!

いやいやいやいや…

違う違う違う違う…

 

…違くないけど…

 

「何言ってるんですかぁ!急にキスされたらだれだって戸惑いますよぉー!

恥ずかしいし!」

 

これ、精一杯。

 

もうそれからは落ち着かせるのが大変だった。

 

 

キスしちゃったキスしちゃったキスしちゃったキスしちゃった…

 

あぁ…

 

…もっとしたい…

 

木田さんともっとキスしたい…

 

 

 

…え?

今の何?!

 

や!やばい!

私はなんつーコトを考えてるんだ!

今日会ったばかり!

しかもお客さん!

しかもりおママが憧れてた人!

 

うそうそうそ。

今のうーそ!

 

もう頭の中も胸のドキドキも忙しすぎて大変。

 

早く帰りたい…

もう早くここから逃れたいよぉ~

 

 

「そろそろ帰るかぁ。」

 

木田さんが眠そうな顔で言った。

 

うんうんうん。

帰ろう帰ろう!

すぐ帰ろう。今帰ろう。

 

「えーー!帰りたくない!まだいいやろぉ~?」

「そうや!今夜は帰らせへんって言うたやろ!」

 

りおママがごねる。シゲママが引き止める。

 

もーマジでやめて!

もう私は身が持ちません…

 

「明日早いんやぁ。ほんまにもう帰るで。」

 

木田さんが二人の静止をはねのけ席から立ちあがった。

 

よし!

帰ろう!

 

「えぇ~…そうなん…?じゃ帰るかぁ~」

 

りおママはフラフラとしながら立ち上がった。

 

「また来てやぁ~木田ちゃん。あ、もうブスは来なくていいから。あははは!」

 

最後まで私はブスだったか。

 

三人で店の外にでる。

もう3時だ。

 

「木田さんはどうやって帰るん?」

りおママが聞く。

「車やから送ってくわ。」

 

当時はまだ車でミナミに来てるお客さんが結構いた。

バリバリ酔っ払い運転だけど、深夜や早朝だとたいがい捕まることはないらしい。

 

りおママは送ってもらうんだな。

じゃ、私はタクシーを拾って帰ろう。

 

「あ、私はその辺でタクシーを拾って帰ります。木田さん、今日はごちそうさまでした!またいらしてくださいね!」

 

よし!

上出来!

にこやかに、普通に、さりげなく…

挨拶できた!はず…

 

その時。

 

「なんでや。ゆきえも送ったるわ。乗ってけばええやんか。」

「そうやんか!ゆきえちゃんも送ってもらい!」

 

えぇ…?

はぁ~…

まだこの時間が続くのか…

早く一人になりたいよぉ~

木田さんといられるのは嬉しいけどしんどいよぉ~…

 

「いやいや。木田さん大変やからいいですよ。ママだけお願いします。」

「大変ちゃうわ。ついでやんか。着き合わせたんやから送ってくわ。」

「そうやで。木田さんは危ない人ちゃうんやから。送ってもらい!」

「危ない人ってなんやねん!」

 

もう断れない流れだ。

はぁ…

 

「じゃぁ…はい。お願いします。」

 

結局木田さんの車に乗り込み、送ってもらうことになった。

 

「ママの家の方が寄りやすいからママから送るで。ええか?」

「そやな。家のがゆきえちゃんのお家より近いな。それでお願いしまーす!」

 

て、こと、は?

 

ひえ~!!!

後で木田さんと車の中で二人きりになるってこと?!!

 

うわわわわわ。

やっぱりタクシーにすればよかった!!

無理!ほんと無理!

どうしよどうしよどうしよ~!!

 

ママの家はミナミからすぐだ。

あっという間に着いてしまった。

 

「じゃあね!木田さん!また絶対店来てや!ありがとうな!ゆきえちゃんのコトよろしくね!」

「おー、またなー。」

 

 

…ふ、二人きりだ…

ヤバい…

何か話さなきゃ…

 

「えと…なんかすいません。送ってもらっちゃって。ありがとうございます。」

「ええよ。今日は着き合わせて悪かったなあ。少しは楽しめたか?」

「あー…はい。面白かったです。」

「そうか。ならよかった。」

 

 

…シーン…

ダメだ。

緊張しすぎて話しができない。

どうしよう…

 

「眠い…」

「え?」

「あかん…眠い…」

「え?え?え?大丈夫ですか?」

「大丈夫やない…眠くてあかんわ。」

「え?じゃあ私ここで降ろしてもらえればあとはタクシー拾うんでいいですよ!

木田さんは車で少し眠ったらいいんやないですか?」

「いやだ。ゆきえと一緒がいい。」

「え?は?それは…どういう…」

「もう眠くてあかんからあそこで一緒に寝よう。」

 

木田さんが指さしたのは

 

ラブホテルだった。

 

 

え?

 

 

えーーーーっ?!

 

 

さて。

小娘ゆっきぃ。

どうしますかね?

 

つーづーくー

 

 

 

この一か月半の苦しみと今の私

2月の後半から徐々に徐々に、少しずつふかーい闇に入り込んでいったワタクシ。

 

始まりはたいしたことなかったんです。

 

まぁいつものコトだなぁ~くらいな感じ。

 

体調が回復したら少し楽になった。

うんうん。

このまま楽になっていくよねぇ~みたいな。

 

でも。

 

あれ?

胸のざわつきは続いてる。

 

ざわざわざわざわ。

 

時にはぎゅーーーっと締め付けられるような感じまで。

 

そうだ!

なんか行動をおこそう!

このざわつきを否定せず受け入れるんだ。

このざわつきがありながらも開き直って行動を起こすんだ!

 

坂爪さんに連絡をしてみよう。

今までの私だったやらないようなことだ。

うんうん。

この状態を誰かにさらけ出すんだ。

坂爪さんにこの状態をこのまま見ていただこう。

 

ん?

涙が止まらない。

これは号泣パターンだ。

 

もうとことん号泣してやれ!

『もう降参!!もうこうさーん!!うわぁーーーー!!』

 

頭が痛くなるまで泣いた。

 

そしたら…

 

あれ?

割とすっきりしてる!

やった!!

号泣したら抜けた!!

 

やったやったーーー!

 

坂爪さんにはこのままを正直に話した。

 

『でも、号泣できて、そして抜け出せたみたいでよかったですね!』

『はい!ほんとよかったです!』

 

そんなやりとりをして、そこから2日くらいは割とよかった。

 

 

でも…

あれ?

 

何かがおかしい。

朝起きると同時に胸がざわつき始める。

胸のぎゅーーも戻って来てしまった。

 

いや、戻ってきたなんてもんじゃない。

ひどくなってる。

 

もうそこからはどんどんひどくなる一方だった。

胸のざわつき、居心地の悪さ、胸の締め付け、急にこみ上げてくる涙、

詰まる喉…

溜息が止まらない。

 

視界が狭く、世界の色もくすんでいる。

何を見ても何をしてみても落ち着かず、ただ居心地の悪い無為な時間だけが過ぎていく。

 

そらさんと一緒にいる時間は一瞬その世界から離れることが…

…できるような気がした。

でも実際は離れることなんかできてないし、逃れられてもいない。

 

重くのしかかる“何か”。

 

毎日が重く、辛い。

 

朝目を覚ますと『はぁ…今日も朝が来てしまった…』と落胆する。

体が重い。

何もしたくない。

どこにも行きたくない。

誰とも会いたくない。

 

もう…

 

このまま消えてなくなってしまいたい。

私がいなくなったらどうなるんだろう?

自殺でも謀ったらどうなるかな…

 

きっとどうにもならないんだろうな。

そらさんはそらさんで強く生きていくだろうし、亮一さんはもともと私がいてもいなくても大丈夫な人だし、私の両親は悲しむだろうけど、別に今だって一緒にいるわけじゃないんだから忘れていくだろうし…

 

そうか。

私が消えてなくなっても誰も困らないんだ。

そうか。そうか。

 

こんなコトを本気で考えてたのです。

 

でも自殺する勇気は、ない。

そらさんと一緒にいれば楽しい気もするし、そらさんは超絶かわいい。

亮一さんからTELやスカイプで連絡がくれば嬉しい。

 

でも。

苦しい。辛い。涙がどんどん出る。

 

私はこのままどうなってしまうんだろう?

誰か!助けて!!

 

そんな時、どかーんともう一歩深いところに落ちていきました。

 

私は気づくと夜中に一人で“神”という存在に心の底からの

怒りをぶつけていました。

 

「もーーーーーーーう!!!!いい加減にしてくれっ!!!!

これは一体なんなんだよっ!!!消えたくても消えることが許されない、逃れられない“コレ”は一体なんなんだよっ!おいっ!!答えろよ!!!いい加減にしてくれっ!!

もう何度も降参!って言ってんじゃねーかよ!もう…勘弁してくれよ…いい加減にしてくれよ…ふざけんなーーーーー!!!」

 

私は悪態をつけるだけついて大泣きした。

文句を言い続けわんわん泣き続けた。

床に仰向けで寝っ転がり、わんわん泣きながら拳で床をどんどんと叩く。

悪態をつきながら、どうにもならない憤りをなんとかしたくて

床をどんどんと叩きつける。

 

お陰で私の左手の小指側は痣ができ、ひどく腫れた。

 

 

この“私”という現れは一体なんなのか。

この逃れようのない“コレ”はなんなんだ。

 

ただただ無力で無為。

コントロール不可能。

 

今までだって“私”が選択していたようで、実は何も選択なんてしていなかったんだ。

 この湧いてくるどうしようもない感情だって一回もコントロールできたことがない。

ただただ湧いてくるものなんだ。

 

なんだ。

そうか。

 

今までそんなこと知ってるって思ってた。

そんなこと“私”知ってるよって思ってた。

 

全然わかってなかったんだ。

 

いつまでもいつまでも“人目”を気にしてる“私”。

“人からどう思われるか”が怖くてたまらない“私”。

“亮一さんから嫌われる”のが怖くて怖くてたまらない“私”。

 

これもすべて湧いてくるものなんだ。

“私”に責任はなにも、全くなにも、ない。

反省なんてする必要はない。

反省は“起こる”もの。

“する”ものではない。

 

“嫌われるのが怖い”も起こるもの。

“人目を気にする”もこの世界に“立ち上がる”もの。

 

あぁ…

そういうことなんだ…

 

“私”なんて、一個人の“私”なんてほんとはいないんだ。

 

無力で無為。

 

この世界はただただ“何か”が現れては消えていく、その繰り返しなんだ。

 

そして“私”だと自覚しているこの“何か”“コレ”がそれをただただ観察しているだけなんだ。

この“私”だと思っているこの“現れ”ができることはただ“観る”ことと“経験する”こと

だけなんだ。

 

 

そんなことがだんだんと腑に落ちる。

 

なんだよ。

それなら早く開き直っちまったほうがいいじゃん。

 

この何かわからない“コレ”からどうせ逃れられないなら

自分の意思ではどうせ逃げられないなら

とっとと開き直ってガンガン観察したほうがいいじゃん。

 

なんだよ。

“コレ”しかねーのかよ。

 

『キラキラしよう!』『自分のやりたいことを見つけよう!』

『自由に生きよう!』『使命を持って生きよう!』

『幸運は引き寄せられる!』『人生が思い通りになる方法』

『邪気を祓うには』『金運アップにはこれ!』

『開運!運気がよくなる法則!』

 

↑こういうタイトルの本。

↑こういうタイトルのブログ。

 

みんな(特に女子)好きですよね~

 

 

 

 

大好き。笑

 

だし、『やってみよー』って思ってやってたりもする。笑

 

 

でも質問。

 

『幸運』って何?

『自由』っていったい?

『開運』って?

 

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誰がかまうもんか!!

 

なんだかこっちのがしっくりきます。

(この本最高です!ラメッシさいこー!)

 

私は“私”が“コントロール”して“選択した”から今の人生がやってきた、と思っていたかったんだ。

“努力は報われる”“努力して成長することが大事”だと、私の“エゴ”はずっと主張していたかったんだ。

 

でも気づき始めてしまった。

 

“気づき”が起こり始めてしまった。

 

この一か月半程の言いようのない苦しみ。

死んでしまいたいと本気で思ってしまうほどの辛さ。

悶え、苦しんだ時間。

 

“エゴ”の崩壊だったんだ。

多分。そう。多分。

 

 

今の私は…

 

やってることは今までと何も変わらない。

 

でも明らかに“何か”が違う。気がする。笑

 

私がやっている『整体』や『リーディング』や『自叙伝を書く』や『ブログで文章を綴る』には何の“使命感”もない。

全くと言っていいほど『伝えたいこと』もない。

 

ただ『綴りたい』が“起こっている”だけだし、『整体をやりたい』が起こっているだけだし、『リーディング』が起こっているだけ。のような気がする。

 

もうコントロール不可能で、選択の自由がないというならとことんこの“現れ”に身を任せるしかない。

 

どんどん開き直ろう!!

 

あっ!こうしたい!と感じたことはどんどんやろう!

やっぱりやりたくない!と感じたらすぐにやめよう!

 

この“現れ”に身を任せてみよう。

 

そんな感じ。

 

よかった。

そんな体験ができてほんとによかった。

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こんなに素晴らしい“現れ“も見ることができるんだから。

 

 

今の私はこんな感じです。

 

読んでくださってありがとう。

 

こんな私に会ってみたい方がいたら気軽にご連絡くださいね。♡

 

整体やリーディングのご依頼じゃなく、ただ『会ってみたい』っていうご依頼でもいいですからね。

 ↓こちらのHP内の問い合わせフォームからお願いしますね。

 

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私はいろんな方の“現れ”が見てみたいです!

 

まとまりのないとりとめのない文章ですいません!!

 

 

 

 

私のコト68

みなさーん!

ほんとにお久しぶりでございます!!

 

覚えていてくれてますかー?

 

 

前回のブログを書き終え、ワタクシどんどんと落ちていきました。

 

どこまで私は落ちていくのだろうか?

辛い~辛い~と落ちていくことに抵抗する私。

 

『ブログを綴ったら少しでも気分転換になるかも?』とあがくのが好きなワタクシは

自叙伝の続きを綴っていたのですが…

 

かなり書き綴ったあたりでまさかのパソコンフリーズ。

 

マジかっ?!

えっ?!

 

もう~…

私はダメかもしれない~…

 

とメソメソ泣いているところにアジアに行っている亮一さんからTEL。

 

『ゆっきぃ…どう?』

 

うぅ…

もうダメだ…

 

『最悪です…もう私はダメかもしれません…』

 

と、弱音を吐く。

 

『もうどっぷり浸かるしかないねぇ…パソも動かないんだし、ブログにも逃げられないってことだよねぇ。』

 

はい…

 

そーします…

 

てなことで、どっぷりガッツリとこの落ちていく出来事に成りきっていたのです。

 

“この出来事に成りきる”

 

これすごく重要。

 

でも重要だけどかーなーり辛い。

 

今回は人生で初めてくらいのつらーいふかーいくるしーい体験だったので、

本気で“このままマジで消えてなくなってしまいたい”と何度も思ったのです。

 

その出来事についてはまたおいおい書く時がくると思うのでおいといて~

 

やっとパソも修理から戻ってきて、私もふかーいくるしーい所から戻ってきて、

藤山亮一さんもアジア一人旅から戻ってきて、

やっと!やっと!

ブログ再開です~(^◇^)やったー!

 

 

前置き長くなりましたが、自叙伝続きいきますねー!

 

覚えてます?

前回のこと?

 

貼っておくので忘れるに決まってるやろボケ!と思っている人はこちらを読んでね♡

私のコト67 - 藤山家においでよ

 

最初から読まなきゃわからんつーのボケ!と思った人はこちらをどうぞ♡

私のコト① - 藤山家においでよ

 

お前が今何やってるか知りたいからHP見せろっつーのボケ!と思っている人は

こちらを見てね♡

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さーて。

おまたせ。

 

 

Tさんに新しいお部屋と車を用意してもらった大国町という街で新たに生活を始めた

小娘ゆっきぃ。

環境にもお部屋にも慣れ始めたある日。

りおのお店でホステスになって初めての感情を味わうことになる。

 

 

いつものようにお客さんと同伴をしてお店に出勤する。

ほんとにいつも通りの日だった。

 

その日、お店にWさんとRさんというお客さんがやってきた。

このWさんとRさんは大手建設会社の営業本部長クラスの方たち。

バブルのころはすごく派手に遊んでいたらしく、いつもその派手さが伺えるような

遊び方をする方たちだ。

今日は二人でお店に来たが部下やお得意さんを何人も引き連れてやってくる日もあり、ママにとっては上客であり、もう長い、古い付き合いのお客さんだ。

 

私はもう何度もWさんとRさんの席に着かせてもらっていたが、

初めてこの人たちの席に着いたときはかなり覚悟がいった。

 

とにかくとにかく触りまくるのです!!

胸や足やお尻や…もうこれでもかっ!てくらい触りまくる!

 

他のホステスさんがその状況にあってる所を目にしていたのと、ママからその話しは聞いていたので覚悟はしていた。

 

『ゆきえちゃん、大丈夫?でもな、ほんとはいい人たちやねんでー。』

 

ママは心配してそう言っていた。

 

でも、私はWさんとRさんがほんとはいい人だということを察知していたので、

覚悟はいったけどさほど心配はしていなかった。

 

「はじめまして!ゆきえです。失礼しまーす!」

 

さて。

この二人を飼いならすことができるか。

 

そんな気持ちで席に着く。

 

「おー!ゆきえ!ずっと席に着いてくれるの待ってたんやでぇ~!」

「真ん中座れやぁ~!真ん中真ん中!」

 

WさんとRさんの真ん中に座らせられる。

ママもほかのホステスさんも別の席で接客中。

 

私一人でこのWさんとRさんの真ん中に座って接客することになった。

 初めて席に着くというのに。

 

もう胸もお尻も太ももも触られまくりだ。

 

…と言いたいところだけど…

 

あれ?

この人たち…

 

すんごい優しい人たちだ。

 

いや、触ってるけど…触り方が遠慮してる。

 

はー…

 

これはこの人たちのホステスを見定める方法なんだなぁ…

私の出方を観察してる。

私の反応を見てるんだ。

 

通過儀礼だ。

 

「ちょっとー!WさんもRさんも照れ屋さんなんやろ?そうやろ?

こうでもしなきゃ初めての女の子とお話しできひんのちゃう?!そーやろ?

うはー!そーなんやろぉ~?!」

 

触られるのをじゃれあいのようにはね除けながらそう言ってみた。

 

これがよかったらしい。

そして私のあしらい方が合格点をとれたらしく、私はこの二人からとても可愛がられるようになった。

 

先輩ホステスさんたちの中にはこの二人を嫌がってる人もいたし、泣かされてる人もいた。

  

でも、私はWさんとRさんのことが大好きになり、お店にくるとすごく嬉しかったし

一緒に飲んでるとすんごく楽しかった。

 

 

その日もWさんとRさんがお店に来てくれてすごく嬉しかった。

ママはすぐに私を席につけてくれた。

 

「わー!!会いにきてくれたん?!私に会いに来てくれたんやろ?!」

 

私が言うと

 

「はー?んなわけないやろー!もう帰るか。」

 

と二人。

 

「ちょっと!ちょっと!どういうコトなん?!」

 

わははははは!

 

いつものテッパンやりとり。

 

そしていつものように楽しく飲み始める。

その日はママも一緒に席に着いていた。

 

「おう、りお。今日はこれから木田が来るでー。多分そろそろ来ると思うでー。」

 

突然Wさんがそう言った。

 

「えっ?!木田さん?!ほんまに?!やだ!ものすごい久しぶりやで!ほんまに?!

うわぁ!嬉しいわぁ~!!」

 

りおママがものすごく喜んでいる。

久しぶりのお客さんが来てくれるのはそりゃ嬉しいことだと思うけど、

それ以上の喜びようだった。

 

「木田さんってそんなに久しぶりなんですか?どんな方なんですかぁ?ママ、すごく喜んではるけど~」

 

私は興味津々で聞く。

 

「もう古い付き合いでなぁ。昔はWちゃんとRちゃんと木田さんとで、たくさんの女の子と一緒に私のこともよく飲みに連れて行ってくれたんやでぇ♪懐かしいなぁ」

 

「ゆきえは木田ちゃんは初めてやもんなぁ。もう長い付き合いやねん。よく一緒に飲むねんでー。紹介したるわー」

 

三人の話によると木田さんはWさんとRさんの勤めている建設会社の下請け会社の社長さんで、かなり若いときからの付き合いらしい。

バブルの頃は毎晩のように一緒に派手に飲み歩いた仲間。

ママもその頃はクラブホステスの一人で、よくアフターに連れていってもらったそうだ。

 

「木田さんが来るなら私はちょっとお化粧なおしてくるわー!あはははは!」

「おい!俺らのときは全くそんなんせぇへんやないかい!」

「おいおい!なんやねんそれわ!」

 

ママは上機嫌でお化粧を直しにいった。

 

へー。

ママがそんなに上機嫌になるようなお客さんなんだー

どんな人か楽しみだなぁ。

 

そんなコトを思っていたその時。

 

お店のドアが開く。

 

ママがお化粧直しから戻ってきた。

 

「いやぁ~!!木田さんやないのぉ~!!久しぶりやわぁ~!!!」

 

ママの大きな声がお店に響く。

 

「おぉ。りおママ。久しぶりやなぁ~」

 

優しい低めの声がドアのほうで聞こえる。

 

噂の木田さん登場。

 

私の目が木田さんの姿をとらえる。

 

 

どきーーーーーーっ!!!!!

えっ??

ちょっ、

えっ?

マジで…?

 

かっこいいーーーーーーーー!!!!ーーーーーーーー!!!!

 

ヤバいヤバいヤバいヤバい…

 

 

私は木田さんを見てドキドキが止まらなくなっていた。

 

木田さんは故岡田真澄さん(←わかるかなぁ…)をもっとずっと若くして、少しやんちゃにしたような感じだった。

 

声もかっこよくて雰囲気も最高だった。

 

若かりし日の私はいわゆるファザコンというかおじさま好きだったので、

ホステスをやり始めてから今までこういうコトがないほうが不思議なくらいだったが、まさかそれが今日だったなんて。

 

なんかもうドキドキしすぎて木田さんを直視できない。

ママがはしゃいでいたのはこれだったのか…

 

「木田ちゃん!座って座って!ほんまに来てくれて嬉しいわぁ~!」

 

ママはぴったりと木田さんにくっついている。

 

「木田さん、この子ゆきえちゃん。よろしくね。」

 

わわわわ。

まずい。

このドキドキを絶対悟られないようにしなければ。

 

「ゆ、ゆきえです。よろしくお願いします!」

 

はぁ…

なんとか普通に自己紹介できた…

 

「おう。ゆきえか。よろしく。」

 

きゃーーーー!!

 急に呼び捨て!!

しかも声かっこいいーーーーーーーー!!!!

 

はぁはぁ…

 

こりゃまずいぞ…

なんとかはやく平静を取り戻すのだ。

 

私はなんとか冷静に接客を続けた。

いつものようにWさんとRさんと一緒にふざけながら。

 

ママはずっと木田さんのそばにべったりくっつきながら話しをしていた。

木田さんの腕をぐっととりながら。

 

「ゆきえちゃん。木田さんかっこええやろぉ~?昔からモテてなあ。

私なんか全然近寄れなかったんよぉ。アフターに行っても大勢のホステスと行くから、先輩たちが木田さんの近くをすぐに固めてしまうんよぉ。今日は夢みたいやわぁ~♪」

 

やっぱり…

そうですよねぇ。

 

「そんなわけないやろぉ。よう言うわぁ。信じたらあかんで。ゆきえ。」

 

だだだだだからっ!

こっちをそんな目で見て名前呼ばないでっ!

 

「いやぁ~、絶対ママの言ってることほんまやと思いますよぉ~」

 

もう一回一回のやりとりが精一杯だった。

 

はやくこの場から立ち去りたい。

でももっと木田さんのそばにいたい。

というか、木田さんの顔を見ていたい。

声を聞いていたい。

でもいたたまれないからこの場を立ち去りたい。

 

もうめちゃくちゃ。

 

そんな時、ママがこう言った。

 

「木田さん、この後○○のお店に連れていってやぁ~♡な?お願いやから~♡」

 

○○のお店?

 

「おー。久しぶりのその店の名前聞いたわぁ。全然行ってないで。」

「そやろ?だーかーらー、今日これからそのお店連れて行ってや!な?な?」

 

ママが思いっきり甘えている。

かなり強引だ。

 

「ええっ?!今日これから?うーん…」

 

木田さんが困っている。

 

WさんとRさんは困っている木田さんを見て楽しいんでいる。

 

「ええやんかぁー。久しぶりにりおママに会ったんやから連れて行ったりーやぁ。

ま、俺らは行かへんけどなー。わはははは。」

 

「ええっ!Wさん行かへんの?!Rさんは?!ええー?!」

 

木田さんは苦笑いしながら困っている。

 

「ええやんか!ずっと来てくれへんかってんから~。今日はワガママ聞いてぇやぁ~♡」

 

ママはますます甘えて食い下がる。

 

ママの話しではその○○というお店のママはいわゆるゲイで、当時アフターでママと木田さんたちでよく行っていたお店らしい。

 

そのゲイのママは木田さんのことを狙っていて、一緒にお店に行ったホステスさんたちと木田さんを取り合うっていうのがお決まりのパターンだったみたいだ。

 

「今日、木田さんと一緒にあの店に行って長年の決着をつけてやるんやから!

絶対あのママ焼きもち焼くでぇ~♪」

 

りおママは当時あまり木田さんの近くに寄れなかったから、いつも悔しい思いをしていた。らしい。

 

今日やっと木田さんを独り占めできる立場になったコトがもんのすごく嬉しいようだった。

「うーん…じゃあ…久しぶりに行くかぁ…」

 

木田さんはママの押しに負けた。

どうやらお店を閉めたあとママと一緒にそのお店に行くことになったみたいだ。

 

ママは『やったで!』というような顔で私にウインクをした。

私は『よかったですね!』の意味の笑顔を返した。

 

はぁ…

 

もうすぐこの時間から解放される。

 

木田さんが私を相手にするわけがないのはわかっている。

女の子にもすごく人気だとか、いろんな場面で取り合いがあったとか、いろんな話しを聞いてどんどんその考えが固まる。

 

ものすごくタイプだし、ものすごくドキドキするし、ものすごく近寄りたい。

 

でも絶対無理。

 

だったら『来るとすごくドキドキするお客さんができた!』と毎日の仕事の楽しみにすればいいだけだ。

 

うん。

そうだ。

そうしよう。

そして今夜は木田さんのことを考えながら酒を飲もう。

一人で。

今日はたまたまTさんがいない日だ。

 

お店が終わった後の時間が少し楽しみになってきたその時。

木田さんが私にこう言った。

 

「ゆきえ!お前もいっしょに来ぃや。」

 

ええっ?!!!!

はっ?!!

マジっすか?!

 

え?

だってだってだって、ほとんど私としゃべってないっすよね?

私行ったって邪魔なだけっすよね?

へ?????

なんで?なんで?なんで?

てかさ、まだこのドキドキ精一杯の時間が続くってーの?

いやいやいやいや…

無理っしょ?いや無理っしょ?

 

「いやぁ~私が一緒じゃお邪魔ですよぉ~。なのでぇ~…」

 

私のこの一瞬の想いが伝わらないように、冷静に慎重に断ろうとしたその時。

 

「そやな!ゆきえちゃんも一緒に行こうやぁ。何事も経験やで!いろんなお店に行くのも経験やもんな!な?木田さん!」

 

ママも私を誘った。

 

ええっ?!

 

「そうやそうや。三人で行こう!じゃ、もうお店閉める時間やから準備して行こうー!」

 

 

……いつの間にか一緒にアフターに行くことになってしまった……

 

私…

もつかな…

 

 

お店の閉店作業をボーイさんに任せてWさんとRさんを見送り、三人で店を出る。

 

腕をギュッと固く組んだりおママと木田さんが前を歩く。

時々チラッと私の方を振り返り

「ゆきえー!着いて来てるかー?」

と木田さんが確認する。

 

私はその度にドキドキしながら、でも平静を頑張って装い

「着いてきてますよぉ~!安心してくださいよぉ~」

と少しおどける。

 

そんなコトを何度か繰り返しているうちに目的のお店に着く。

 

はぁ…

今日の夜の時間は長く感じそうだな…

 

そう思いながら私はお店に入った。

 

 

さあ!

このあと急展開が待っています!

 

木田さんに恋してしまった小娘ゆっきぃ。

どーなる?!!

 

つーづーくー

 

 

 

私のコト67

みなさんこんにちわー!

 

未だ帰ってこない私のダンナさんである藤山亮一さん。

只今ラオスにいるらしいです!

昨日入ったラオスのホテルはすごーく綺麗で、スタッフさんたちもすごーく親切らしいです。

スカイプで少しお部屋の様子を見せてもらったのですがめっちゃ綺麗!

エアコン付き!

で、1200円くらいだってー!

いーないーな♪

 

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何故かスクショした笑

 

こちらはマレーシアのマラッカにて『よばれた!!』というメッセージとともに送られてきた写真です。

うんうん。

よばれてますな。

 

亮一さんは異国の地で開放の旅、私は自叙伝を綴りながら“過去”と“観念”と“感情”の開放の旅をしております。

 

貴方も貴女も、これを読んで一緒に“開放”できたら嬉しいです!

 

では続きいきまーす!

 

最初から読んでみたい!な方はこちらからどうぞ。

私のコト① - 藤山家においでよ

前回はこちら。

私のコト66 - 藤山家においでよ

 

 

麻美さんとの二人飲みで言いようのない虚無感をたっぷりと味わった小娘ゆっきぃ。

夜の世界の虚しさと、その中にあるある種ゆがんだ美しさをもっと知りたいと思っている自分に気付く。

 

麻美さんとのバトル?になりそうな日が、全くバトルにならずに終わると

いつもの日常が戻ってきていた。

 

Tさんは着々と引っ越しの準備をすすめ、ある日私にこう言った。

 

「ゆっきえさーん♪今日引っ越し終わらせるねー♪ゆきえさんがお仕事行ってる間に荷物運んじゃうから!帰り迎えに行くからさ、今日から新しいお部屋で寝ようね♡」

 

え?

全然荷造りもしてないし…

ダンボールだってひとつもないよ。

どうすんだろ?

 

「そうなの?え?誰がやんの?Tさん一人で?」

「そんなわけないやろぉ~。荷造りは俺がやるかもだけど、ほら!会社の若い奴らに頼むからさ!」

 

Tさんは一応会社の役員だ。

自分で作った会社の役員だから、現場にいなくても若いヤツらを使うことはできるみたいだ。

 

自分でなんの荷造りもしない、ましてや部屋を探してもいない。

それにお金も全然払っていない。

 

そんな引っ越しは初めてだ。

しかも私の名義で借りてくれるらしい。

 

バーテンダーをやっていたころ、いろんなホステスさんが教えてくれたことがある。

 

『マンション用意してもらうなら自分の名義にしてもらいなさいよ!』

 

いわゆる『パトロンさん』の名義にされちゃうと仲が悪くなった時に(別れた時に)大変だよ~という意味だ。

すぐに出て行かなければならなくなるよ!という意味。

 

Tさんはそんなコトは承知の上で『名義はゆきえさんにしておくからねー』と言っていた。

私は相変わらず

『へぇ~…』

と言っていた。

 

そしてTさんはほんとにその日のうちに引っ越しを完了させ、新しいお部屋での生活が始まった。

 

場所はミナミにほど近い『大国町』。

心斎橋にもなんばにも近い。

出勤がグッと楽になる。

 

部屋の間取りは2DK。

6畳の和室に8畳ほどの洋室。6畳ほどのダイニングキッチン。

お風呂もまぁまぁ広く、日当たりもいい。

11階建てマンションの11階。

 

今までいた部屋よりもずっと広くて日当たりも良くて、私はすごく気に入った。

そしてもう一つTさんからのプレゼントがあった。

 

Tさんが一緒にいられない時に私が退屈しないようにと、

車を買っておいてくれたのだ。

 

私がずっと運転してないことを知っているTさんは、私でも小回りよく運転できるようにと可愛い軽自動車を用意してくれた。

 

「ゆきえさーん♪この車可愛いやろぉ?名前なんにしよっかぁ?『イクラ号』にしよっか?わははは♪」

 

てことで私が飼っている猫の名前の『イクラ』を車の名前にした。

 

広い部屋と綺麗な可愛い車『イクラ号』。

私はただ『へぇ~…』と言ってるだけだったのに、

こんなすごいものが目の前に現れたのだ。

 

でも…

『すごいなぁ~…』とは思っていたけど、

『嬉しいぃ~♪』や『幸せ~♪』とはまるで思えなかった。

私の名義にしておいてはくれているが、ひとっつも『私のもの』だとは思えなかった。

 

新しい部屋にも少しづつ慣れ、周りの環境にもなじんできたある日。

 

私はりおの店で初めての感情を味わうことになる。

ホステスになって初めて味わう感情。

 

さて。

どんな感情でしょう?

 

へへへ♪

 

つーづーくー

私のコト66

みなさんこんにちわー!

 

前回のブログではご迷惑?ご心配?おかけしましたー!

 

コメントも頂き、フェイスブックのコメントにもメッセージを頂き、直接メールやLINEにも励ましのお言葉を頂き…

 

ワタクシ泣きました(T_T)

 

ありがたい…

 

世の中には優しい人がたくさんいるんだなぁ…

改めて実感しましたよ( ノД`)

 

ダンナさんからも異国の地からのスカイプ

 

『ゆっきぃ!ブログ、ぼちぼちねぇ~(*´з`)』

 

なんて優しい言葉を(;_;)

 

なんかいろいろ嬉しすぎてパンになってみたりしました。

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あのですね、私はとことん容姿に自信がないのであまりブログやフェイスブックに顔を出すのは極力やめようっと、なんて思っていたのですがね、

『お!これも私のワクだぞ!おいおい!』という声が自分から聞こえてきたので

出していく事にしましたー!(坂爪さんとの写真も載せたかったしねー)

“ワク”や“観念”がなんぼのもんじゃーい!!

 

てことで、書きたくなったのでもう書きます。笑

元気です。私。

 

さてとー

 

続きいっちゃいましょう!

 

最初からご覧になりたい方はこちら♥

私のコト① - 藤山家においでよ

 

前回はこちらよ♥

私のコト65 - 藤山家においでよ

 

あ!

今日は結構“下”の感じなので、お好きじゃない方はスルーしたほうが良いです。(;'∀')

 

 

 

麻美さんに『お店が終わったら一緒に二人で飲もう』と誘われ、ワクワクそわそわとお店の勤務を終えた小娘ゆっきぃ。

麻美さんとどんな会話が繰り広げられるか楽しみにしながら指定されたお店に向かう。

 

麻美さんから指定されたお店はバーとスナックが混ざったようなお店だった。

 

カウンターだけのこじんまりした、そして雑多なお店。

でも嫌な雑多じゃない。

居心地がよさそうだ。

 

麻美さんは先に席に着いて待っていた。

 

「ゆきえちゃーん。お疲れさま!ビール?何飲む?」

 

あぁ…

優しい。

これから豹変するのかしら。

 

「お疲れ様です!はい。ビールでお願いします。」

 

私は若干緊張しながら麻美さんの隣に座りビールをごくごくと飲んだ。

 

「ゆきえちゃん。びっくりしたやろ?急に誘われて。」

 

麻美さんがすごく自然な声のトーンで話しかける。

麻美さんの方に目をやると、お店にいる時とは全然違う雰囲気ですごく

リラックスしている。

ふにゃふにゃしていてとても可愛い。

 

あれ?

この人…

私と戦闘する気…もしかして…ない…?

 

いやいや!

りおママが『麻美はタヌキや!』って言ってた。

こうやって私を油断させる気だ。

まだ気を許しちゃいけない。

 

「はぁ…はい。びっくりしましたよー。麻美さんから誘われるなんて思ってもみませんでしたから。」

「うふふふふ。ゆきえちゃん。りおママから私のこと、何か聞いてるやろ?」

 

いたずらっ子のような上目づかいで私を見る。

 

なんだよー!

可愛いじゃねーか!

 

「はぁ。まぁ。りおママに可愛がってもらってたんですよねぇ?」

 

無難な答え。

 

「そうやねん。りおママにはすんごいお世話になってなぁ。足向けて寝られへんわぁ。うふふふふ。なぁ~んて♡」

 

小悪魔麻美。降臨。

 

「今日はHさんは帰られたんですねぇ。泊まりたがらなかったんですか?」

 

直球。投げてみた。

 

「もうねー、ほんまウザいんやわー!泊まりたがるで!でも私がほんまに嫌やねん。

ほんま気持ち悪いんやでぇ。聞きたい?ゆきえちゃん?」

 

おぉ。

割とセキララに言ってくれそうな雰囲気だ。

聞いてみよう。

 

「え?聞きたいです!いいんですか?」

「ええよええよ!ていうか聞いて!こんなんゆきえちゃんにしか言われへんもん!」

 

あれ?

どっかで聞いたセリフ…

まぁいっか。

聞かせてくれるならどんどん話してもらおう。

ものすごく面白そう。

 

「わー!聞きたいです!お願いします!」

「もうなんでも話すわ!あんな…」

 

この後、麻美さんはものすごく赤裸々にHさんのSEX事情を話し始めた。

ここに書けないようなコトまで赤裸々に。

 

Hさんはめっちゃくちゃ甘えん坊で、もんのすごくしつこい。らしい。

その甘えん坊はかなりのもので『赤ちゃんプレイ』にまで発展する。らしい。

 

衝撃的すぎる。

Hさんが…赤ちゃんプレイ…

70代半ばくらいのおじいちゃんが…赤ちゃんプレイ…(←しつこい)

 

「えぇっ!マジですか?!は?!うわぁ~…」

「マジやでぇ~。ほんまに気持ち悪いやろぉ?でな、そうかと思うと今度は

身体中ずーっと舐めまわすんやで!それが長いんや~」

 

おぉ…

Hさんに身体中を舐めまわされるところを想像する…

 

おぉ…

それはマジで無理だ…

 

「麻美さん…すごいですね…」

 

「すごないわぁ!ゆきえちゃん、Hさんを引っ張りたいと思ってるんやろ?」

 

あ。

そりゃバレてるよね。

もうここまで麻美さんが話してくれたんだから正直にいこう。

 

「はい。なんとかこっちに引っ張れないかといろいろ考えてました。

すいません。」

「え?!なんであやまるん?ホステスなら当たり前やろ!謝る必要ないわあ。

違うねん。ゆきえちゃんに言っておかなアカンと思てな。」

「は?はい?なんでしょう?」

 

「Hさんはな、“寝なきゃ”引っ張れへんよ。もうそれが当たり前になってしまったからなぁ。」

 

はー

やっぱりそうか。

Hさんを“寝ない”で引っ張るのはもう無理かぁ…

 

「最初はええと思うで。何回かは同伴もしてくれるやろうし、お店にも頻繁に来てくれると思うで。でも寝んかったらしばらくしたら離れるで。これは絶対や。

ゆきえちゃんがどんなに頑張ったってあかんわ。Hさん、ケチやしな。」

 

そうなんだぁ…

 

でも…

え?

じゃなんで麻美さんはそんなに嫌な思いして、ケチなHさんと寝てまで…

うーん…

 

私はそこも正直に聞いてみた。

 

「麻美さんはどうしてHさんを寝てまでして引っ張ってるんですか?

少しでも好きな気持ちがあるんですか?」

 

もっといいお客さんもいるだろう。

麻美さんならもっと嫌な思いしなくていいお客さんがたくさんいるんじゃないか。

でもHさんと“寝る”ってことは少しは“好き”というか“情”みたいなものがあるんじゃないか。

そんな考えしか思いつかず、私はそのまま質問した。

 

「あははははは!好きなはずないやろ!ほんまにぃ~ゆきえちゃんはまだまだ若いし染まってへんなぁ~。あはははは!」

 

大笑いされてしまった。

それに『若い=甘い=青い』とバカにまでされてしまった。

 

「ゆきえちゃん。ゆきえちゃんはなるべくそのままでいなよぉ。あんまりゆきえちゃんみたいな子、ホステスにはおらんからなぁ。だからなんだかいっぱい喋っちゃうわぁ。」

 

私は麻美さんが言った言葉にすごくびっくりした。

 

「え?そうですか?私みたいな子…ってどういうことですか?

私、さっき麻美さんのお店でめちゃくちゃ性格悪い感じでしたよね?

THE!ホステス!!って感じじゃありませんでしたか?」

 

そうそう。

さっき私はTHE!ホステス!!って感じだったはず。

性格めっちゃ悪かったはず!

 

「ぶははははは!ぜんっぜん!ゆきえちゃん、すんごく分かりやすかったでぇ。あははははは!しかも全然性格悪い感じじゃないし!ウケる!」

 

えー…

そうなん…?

 

「えー…私『結構ホステスっぽいことやってるやん!』みたいに思ってたんですけどねぇ…麻美さんとケンカになっちゃったりしてぇ~♪なんてコトも考えてたんですよぉ。」

 

「あはははは!なるわけないやんかぁ。ゆきえちゃんは珍しいくらい素直な子やで。」

 

あれぇ~…

全然思ってたのと違う展開だ。

もう完全に完敗…というか、ハナから勝負にもなっていなかったんだ。

 

「ゆきえちゃん。私はな、“寝て”まで引っ張らなあかん理由があんねん。」

「え?そうなんですか?えっと…それは…?」

 

「子供がおんねん。3人な。」

 

え?

え?え?え?え?

 

えーーーっ?!!

 

それは全然想像してなかった!

しかも3人?!

 

は?は?

はーーーっ?!

 

「さささ3人?!え?!それで?!あの…ダンナさんは?」

 

麻美さんは少し下を向いてちょっとバツの悪そうな顔でこう答えた。

 

「おらんよ。別れてん。しかもな、3人とも違う父親やねん。」

 

え?え?

えーーーーっ?!

 

わー…

そうだったんだ…

 

だからか…

 

自分一人で育てなきゃいけないから。

だから『腹括ってる』んだ。

だからHさんとも寝るんだ。

赤ちゃんプレイもするんだ。

 

なんだか…

もう何も立ち入れないや。

 

私には全くわからない世界だ。

想像もつかない。

 

「麻美さん、毎日子供たちはどこにいるんですか?お仕事中、ていうか、今もですけど…どこにいるんですか?」

 

「24時間やってる託児所があんねん。このミナミのまわりにはたくさんあるんやで。

そこに毎日預けて仕事に出るねん。で、帰りに眠ってる子供たちを迎えにいくねんで。」

 

そうなんだ…

 

そんなコト全然しらなかった。

24時間やってる託児所があることすら知らなかった。

 

『3人預けるとすごく高いねん。でも預けな働けへんしなぁ。もうこっちも必死やでぇ~。まぁ自業自得やけどな。あはははは!」

 

麻美さんは笑った。

自虐的に笑った。

 

私は笑えなかった。

 

「麻美さん…どうしてそういう状況になったんですか?」

 

失礼な質問だと知りながら聞いた。

聞かずにいられなかったから。

 

「あはは…そやなぁ。私、自分で嫌になっちゃうくらい男運悪いねん…

しょーもない男にばっかり惚れてしまうねん…。なんでやろなぁ…何回もなぁ。

で、結局どっか行ってしまうねんなぁ。アホやろぉ?」

 

麻美さんはハスキーな声で、笑いながらそう言った。

 

私はその麻美さんの姿を見て切なさが込み上げた。

そして何も言えなかった。

 

「だからな、そういう面でもりおママにはすごくお世話になったんよ。

りおママもシングルマザーやろ?だからすごく助けてくれたんやで。

でも、私は“寝て”しかお客さんを引っ張る術をしらんかったから、りおママはそのうち私を嫌がり始めたんや。ま、でも、今でも普通にはしゃべるし、たまに飲みにも連れて行ってもらうけどなぁ。あははは。」

 

りおママは19歳になる娘さんがいる。

娘さんがまだ小さいころに離婚をして、一人で育てなければいけなくなり夜の世界へ入った女性だ。

だから麻美さんの大変さがわかったんだろう。

 

「りおママだって“寝る”ことあるのになぁ~!ひどいやろぉ~!あははは。

あ、そうだ!ゆきえちゃん!こないだりおママと飲んだんやけどな。

りおママ、ゆきえちゃんのこと疑い始めてるで。」

 

りおママが?

私を?

疑う?

 

「え?疑うってなんですか?私を?」

「そやで。疑うっていうのはな、ゆきえちゃんを恐れてるってことや。」

「疑う?が?恐れてる?私を?」

 

私は何が何だかわからなかった。

 

「ゆきえちゃん、今Tちゃんに可愛がってもらってるやろ?それに他のりおママの主力のお客さんたちにも可愛がってもらってるやろ?」

「はぁ。はい。でも、それはママありきで可愛がってもらってるんで…」

 

私は本気でそう思っていた。

だからママが私を恐れるなんて考えてもみなかった。

りおママよりすごくなってやる!と思ってはいたけども、

それはまだまだ先の話しだ。

 

「いやいや。Tちゃんを味方につけたのはデカいで。しかもりおママの主力陣を味方につけてる。ママはそうとうゆきえちゃんのこと恐れてるで。

お客さんごっそり持って他のお店に移るんじゃないか?って本気で心配してるで。」

 

えー?!

そうだったんだ…

りおママがそんなことを考えていたなんて…

 

麻美さんもりおママも…

なんだか切ない。

私の中で虚無感が増していくのがわかった。

 

どうにもならない毎日。

抜け出せない夜の世界。

先が見えないミナミの街。

 

虚無だ。

とことん虚無だ。

 

そして私はその虚無の匂いが嫌いではなかった。

 

雑多なバーのカウンターにそのまま埋もれてしまいたくなる夜だった。

 

さてーと!

今日は長くなっちゃった!

 

読んでくださった貴方!貴女!

ありがとうございます!

 

まだつづくからねー

 

つーづーくー!

 

あ!

業務連絡です!

 

先日、鳥取からお問合せフォームでご連絡くださったⅯさん?Kさん?

お返事を送りたいのですが、送ると返ってきてしまいます!

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ご縁がつながりますように。

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か…書けない…

どうした?!

私っ!!

 

パソコンの前に座る→勝手に手が動いて文章を綴る→自分で読んでびっくり?!

 

な、一連の行動を繰り返していたのに…

 

今、パソコンを開いて前に座ってみたら…

 

シーン…

 

全く手が動かなかった。

 

だからそのままを書いている。

 

なんつー状況。

 

藤山亮一さんの旅の様子も書きたい。

自叙伝の続きも書きたい。

 

そう思っているのに…

 

そう思っているのにいざ書こうとすると手が動かない。

 

だれかー!

 

この文章を読んでくださってる貴方!貴女!

 

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